Astro × Decap CMS × Cloudflareで構築する低コストCMS環境──非エンジニアでも更新できるJamstack運用
Astro・Decap CMS・GitHub・Cloudflare Pagesを組み合わせ、低コストかつ非エンジニアでも運用可能なCMS環境を構築する方法と、その背景について解説します。
Astro × Decap CMS × Cloudflareで構築する低コストCMS環境
──非エンジニアでも更新できるJamstack運用
以前、弊社ブログではAstroを利用したサイト構築について記事を書きました。
しかし、その後クライアントからよくいただく質問があります。
それは、
「VS Codeを使わずに更新できませんか?」
というものです。
これは非常に重要な視点です。
エンジニアにとってはMarkdown編集やGit操作は一般的ですが、
非エンジニアにとっては、
- VS Code
- Git
- Markdown
- Pull Request
といった概念そのものが障壁になります。
その結果、
- 更新作業が属人化する
- コンテンツ更新が止まる
- Webサイトが放置される
という問題が発生します。
なぜAstro運用は難しくなりやすいのか
Astroは非常に優れた静的サイトジェネレーターです。
- 表示速度が速い
- セキュリティリスクが低い
- サーバー負荷が小さい
- 保守コストを抑えやすい
一方で、標準状態では、
- Markdown編集
- GitHubへのPush
- デプロイ管理
などが必要になります。
つまり、
「コンテンツ更新にエンジニア知識が必要になる」
という問題があります。
これは中小企業では特に大きな課題です。
WordPressの問題とJamstackの課題
従来、この問題を解決するためにWordPressが利用されてきました。
確かにWordPressは、
- 管理画面から更新できる
- 非エンジニアでも扱いやすい
という強みがあります。
しかしその反面、
- プラグイン管理
- セキュリティ更新
- PHPアップデート
- サーバーメンテナンス
など、運用コストが発生します。
特に近年では、
- セキュリティリスク
- パフォーマンス問題
- 管理負荷
を理由に、Jamstack構成へ移行するケースも増えています。
ただしJamstack側にも、
「更新しづらい」
という別の問題が存在します。
Decap CMSとは何か
そこで有効なのが、Decap CMSです。
Decap CMSは、GitベースCMSの一種で、
- GitHub
- GitLab
- Netlify
などと連携しながら、
ブラウザ上からコンテンツを編集できます。
つまり、
- 非エンジニアはCMS画面から編集
- システム側ではGit管理
という構成を実現できます。

Astro × Decap CMS × Cloudflare構成
今回構築した構成は以下です。
- Astro
- Decap CMS
- GitHub
- Cloudflare Pages
この構成の特徴は、
1. GitHubをCMSデータベースとして利用できる
Decap CMSは、編集内容をGitHubへCommitします。
つまり、
- Gitが履歴管理を担当
- GitHubがコンテンツ保管を担当
する形になります。
そのため、
- 更新履歴が残る
- 差分管理ができる
- ロールバックできる
というメリットがあります。
2. Cloudflare Pagesで自動デプロイできる
GitHubへCommitされると、
Cloudflare Pagesが自動でビルドを実行します。
これにより、
- サーバー管理不要
- 自動デプロイ
- CDN配信
が実現できます。
特にCloudflareは、
- 転送量コストが低い
- CDNが高速
- 小規模サイトと相性が良い
という特徴があります。
設定する必要があるのは、環境変数二つのみです。

3. 非エンジニアでも更新できる
最も重要なのはここです。
利用者は、
- ブラウザでログイン
- フォーム形式で記事を書く
- 保存する
だけで更新できます。
つまり、
GitやVS Codeを意識する必要がありません。
これは実務上かなり大きな意味があります。
また、今回構築した内容については、
テンプレートとしてGitHub上に公開しています。
- Astro
- Decap CMS
- GitHub
- Cloudflare Pages
を組み合わせた構成をベースに、
比較的容易にCMS環境を構築できるようにしています。
テンプレートはこちらです。
https://github.com/toolchainjp/Astro-Decap-Template
このテンプレートを利用することで、
- GitHub連携
- Decap CMS設定
- Astro構成
- Cloudflare Pagesデプロイ
などを一から構築する手間を減らせます。
特に、
- 小規模企業
- 技術者が少ない組織
- 低コストで情報発信したいケース
と相性が良い構成だと感じています。
なぜこの構成が重要なのか
この構成の本質は、
「運用負荷を減らしながら、静的サイトのメリットを維持できる」
という点にあります。
従来は、
- 更新性を取るとWordPress
- 保守性を取るとJamstack
というトレードオフがありました。
しかし、
- Astro
- Decap CMS
- GitHub
- Cloudflare
を組み合わせることで、
- 更新性
- 保守性
- 低コスト
- 高速性
を比較的バランス良く実現できます。
実務で重要なのは「運用設計」
ただし、ここで重要なのは、
ツールを導入するだけでは解決しない
という点です。
例えば、
- 誰が更新するのか
- 承認フローをどうするのか
- 用語定義をどう統一するのか
- 更新ルールをどう管理するのか
といった運用設計は依然として必要です。
これはDX全般にも共通しています。
実際に感じたこと
今回クライアントから、
「VS Codeなしで更新できませんか?」
という質問を受けたことで、
改めて、
- エンジニア視点
- 利用者視点
のギャップを感じました。
技術的に優れた構成でも、
- 運用できない
- 更新できない
- 属人化する
のであれば、実務では機能しません。
そのため、
「誰でも継続運用できるか」
という観点は非常に重要です。
結論
AstroとDecap CMS、Cloudflareを組み合わせることで、
- 低コスト
- 高速
- セキュア
- 非エンジニア運用可能
なCMS環境を構築できます。
特に、
- 中小企業
- 小規模チーム
- 更新頻度が高いサイト
との相性は非常に良いと感じています。
一方で、本当に重要なのは、
「技術そのもの」ではなく「運用できる設計」
です。
これはCMSに限らず、
DXやシステム導入全般に共通するテーマだと思います。