Claude DesktopとMCPで、後回しにしていた社内業務の設定と運用が楽になった
Claude DesktopとMCPサーバーを使って、メール、Google Calendar、稼働管理(Kimai)、カスタマーサポート、マーケティングの設定と運用を見直しました。WSL上でMCPを動かす構成と、実際に感じた変化をご紹介します。
弊社では最近、Claude DesktopとMCP(Model Context Protocol)サーバーを使って、メール、Google Calendar、稼働管理、カスタマーサポート、マーケティングといったサービスの設定・運用を進めています。
結論から言うと、「やったほうがいいのは分かっていたけれど、後回しにしていたこと」が、無理なく進むようになりました。この記事では、その構成と、実際に使ってみて感じた変化をまとめます。
なぜ今まで手が回らなかったのか
小さな会社では、社内業務のツール設定に十分な時間をかけることが難しいものです。
正直に言えば、弊社もこれらの設定に時間をかけられていませんでした。サービスを導入したものの、設定が中途半端なままだったり、使いこなせないまま止まっていたり。お客様の案件が最優先になるため、どうしても自社の仕組みづくりが後回しになっていました。
これが、Claude DesktopとMCPサーバーを使うことで、思っていたよりずっと楽に設定できるようになりました。
構成の概要
WSL上でMCPサーバーを動かす
MCPサーバーはWindows環境のWSL上で実行しています。Claude Desktop側の設定から wsl.exe 経由で起動する形にしているため、Claude Desktopを立ち上げるだけで、必要なMCPサーバーが一緒に立ち上がります。
MCPサーバーを個別に起動しておく手間がないので、日常的に使う道具として無理がありません。
設定は、claude_desktop_config.json に次のような形でMCPサーバーを登録します(パスや名称は例です)。
{
"mcpServers": {
"example-server": {
"command": "wsl.exe",
"args": ["-e", "/path/to/your/mcp-server"]
}
}
}
連携しているサービス
現在、次のような領域でMCPを使っています。
- メール:SMTP・IMAPに対応したOSSのMCPサーバーをベースに、必要な機能を追加して利用しています
- カレンダー:Google Calendar
- 稼働管理:Kimai
- カスタマーサポート
- マーケティング
メール用のMCPサーバーは、汎用的なOSSはあったものの、必要な機能が実装されていませんでした。そこで、追加したい機能をClaudeに依頼して実装してもらい、テストをしたうえで利用しています。OSSをベースに、足りない部分だけを生成AIの力を借りて補えるのも、大きな変化だと感じています。
活用例1:カレンダーの予定をKimaiに自動反映
特に効果が大きかったのが、Google CalendarからKimaiへの稼働時間の反映です。
弊社は稼働管理にKimaiを使っています。案件ごとにどのくらい時間を使ったかを記録するツールですが、これまでは手入力が必要で、正直なところ少し面倒でした。
現在は、次の流れで自動化しています。
- 日々の作業内容を、Google Calendarに予定として入れる
- Claude Desktopのスケジュール機能で、毎日深夜0時にタスクを起動する
- Claudeがカレンダーの内容を読み取り、Kimaiに稼働記録として反映する
カレンダーには、それほど丁寧に書く必要はありません。「適当に」入れておくだけで、どの会社の案件にどのくらいの時間を使ったかが、Kimaiに整理されて残ります。
時間の記録は、あとから請求や振り返りをするときに必ず必要になる情報です。それを日々の少しの入力で済ませられるようになったのは、大きな変化でした。
活用例2:メールの整理と返信案の作成
メールも、毎日の定期タスクにしています。
- 受信メールのフィルタリング(仕分け)
- まだ返信できていないメールに対する、返信文のサンプルの作成
こちらも毎日自動で実行されます。「返さなければいけないのに埋もれてしまったメール」に気づきやすくなり、返信の下書きがあらかじめ用意されているため、着手の心理的なハードルも下がりました。
なお、送信そのものを任せるのではなく、あくまでサンプルを作ってもらい、最終的な判断は人間が行うという位置づけにしています。
活用例3:使っていなかったマーケティングツールを動かす
意外だったのは、マーケティングの領域での変化です。
実は弊社は、マーケティングツールをすでに導入していました。ただ、導入しただけで、ほとんど使えていない状態でした。
MCPを通じてClaudeからそのツールを扱えるようにしたところ、状況を確認したり、次に何をすべきかを相談したりすることが、とても手軽になりました。その結果、「マーケティングをきちんとやろう」と、まず思えるようになったのが一番の収穫です。
数字で示せる成果はまだこれからですが、「やる気になれる状態」をつくれたことには大きな意味があると感じています。ツールは、導入するだけでは使われません。使うまでの心理的・時間的な障壁を下げてくれるのが、MCPの価値だと思います。
一番の価値は、サービス間をつなぐ「糊(のり)」の役割
複数のMCPを使って感じた最大のメリットは、Claudeがサービス同士をつなぐGlueコードのような役割を担ってくれることです。
たとえば、今回のKimaiの例は次のようになっています。
- カレンダー(Google Calendar)の情報を読み取る
- 内容を解釈し、どの案件の作業かを判断する
- Kimaiに記録として反映する
従来であれば、こうした連携には専用のスクリプトを書いたり、連携サービスを契約したりする必要がありました。しかもサービスごとにAPIの仕様が異なるため、継続的なメンテナンスも欠かせません。
MCPを使うと、各サービスに対応したサーバーを登録しておけば、Claudeが情報の受け渡しや変換を担ってくれます。形式が多少揃っていなくても、Claudeが文脈を読んで橋渡しをしてくれる点が、従来の連携との大きな違いです。
サービスごとに別々の画面を開いて設定・確認していた頃と比べると、サービス全体の管理が格段に楽になりました。
導入してみての注意点
便利な一方で、いくつか気をつけている点もあります。
- 権限の範囲を絞る:メールや顧客情報を扱うため、MCPサーバーに渡す権限は必要最小限にとどめる
- 重要な操作は人が確認する:メールの送信など、取り消せない操作は自動化しすぎない
- 定期タスクの結果を確認する:自動で動いているからこそ、ときどき中身を見直す
まとめ
Claude DesktopとMCPサーバーを使ったことで、これまで時間がとれず後回しにしていた社内サービスの設定と運用が、現実的に回るようになりました。
- Claude Desktopを起動するだけでMCPサーバーが立ち上がり、日常の道具として使える
- Google Calendarに入れた予定が、毎日深夜0時にKimaiへ反映される
- メールの仕分けと返信案の作成が、毎日自動で行われる
- 使えていなかったマーケティングツールに、向き合う気持ちが生まれた
- 複数のサービスをつなぐGlueコードの役割を、Claudeが担ってくれる
自社の業務で試してみて実感したのは、生成AIの価値は「新しいことをできるようにする」だけでなく、「分かっていてもやれなかったことを、やれるようにする」ことにもある、ということです。
「ツールは入れたけれど使いこなせていない」「社内業務の整備まで手が回らない」といったお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。弊社自身の実践で得た知見を、お客様の現場にも活かしていきます。